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雑な読書(ザツドク)

ノンジャンルで、本の感想や書評を書いています

『星を継ぐもの』(ジェイムズ・P・ホーガン)の感想・書評

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基本情報

訳者:池央耿
解説:鏡明
出版社:東京創元社(創元SF文庫)
ジャンル:SF
刊行年:1980
ページ数:320
本体価格:700円
 

評価

面白い(★★★1/2)
 

感想・書評

「創元SF文庫」読者投票1位の名著

いわずと知れた傑作SF。原書の初版は1977年で、1980年に創元SF文庫から刊行されている。
月面で5万年前の人間(と思われる)の死体が発見された、という『猿の惑星』のオチから始まるようなストーリーである。
主人公のビクター・ハント博士がその死体を調査している間に、木星の衛星ガニメデで別の宇宙人が250万年前に使用した宇宙船が発見され、事態は複雑になっていく。
 

SFベースのミステリー小説

これは、SF的な背景で展開されるミステリー小説といってよいと思う。未来の科学技術も出てくるが、それにはあまり重きが置かれていない。
当時の先端技術(たぶん)が出てくるので、70~80年代に読んだ人はもっとSF色を強く感じたかもしれないが、今はすんなり理解できる技術的前提になっている。
さまざまな疑問が膨らんでいき、最後にあざやかに伏線が回収され、ミステリーの醍醐味を味わえる。
 

ミッシングリンクへの回答

本書の面白いところは何といっても、人類の進化の過程の空白期間(ミッシングリンク)に対する答えを出しているところであろう。
あくまでフィクションなので、その答えはかなり意表を突くものだが、それまでのストーリー展開も含め、作者の想像力がすごい。
 

40年経っても通用するアイデア

一応、人間関係の対立も描かれるが、本当におまけ程度である。
それがハードSFらしさを強調しているような気もする。
 
最近のSFの方が説得力もスリルもあるし、本作は粗いところが目立つかもしれない。
しかし、ストーリー自体はあまり古びていないと思う。
SFとミステリーは1つの素晴らしいアイデアで決まる、ということをあらためて思い知らされた。