『河童が覗いたインド』(妹尾河童)の感想・書評
基本情報
著者:妹尾河童
解説:椎名誠
出版社:新潮社(新潮文庫)
ジャンル:紀行文、エッセイ
刊行年:1991(単行本は1985年)
ページ数:304
本体価格:590円
評価
面白い(★★★1/2)
感想・書評
イラストと手書き文字でできた本
舞台美術家の著者(『少年H』の作者としても有名)がインドを旅したときの様子を書いた紀行文。
何より特徴的なのは、本人の描いたイラストと、手書き文字だけで構成されていることだ。
非常に緻密なスケッチで、情景がダイレクトに伝わってくる。ネットで世界各地の写真を簡単に拾える時代だからこそ、スケッチの味が旅情を感じさせる。
宿泊した部屋の鳥瞰図もいい。海外の宿には何ともいえない雰囲気がある。
眺めているだけでも楽しい(つい読んでしまうが)
現地人とのやり取りが楽しいのも、紀行文の醍醐味。
歴史的な解説もしっかりしていて、それを今の人の目(現地の感覚)から見ようという姿勢に好感が持てる。
難点は、文字が細かくびっしり書かれていて、読むのに時間がかかるところ。
それだけ丁寧に書かれているということなので、悪いことではないが、読み疲れはする。
イラストを眺めているだけでも楽しいが、まわりに字が書かれているのでつい読みたくなる。
休憩時間や寝る前に少しづつ読んでいくのがいい感じだった。
解説は椎名誠氏。この人の紀行文の推薦は信頼している。